元ノンバンク営業マンが経験した中小企業の資金繰り

ノンバンクで十数年勤めさせて頂きました。 融資から最近流行のファクタリングまで、内容も様々経験しました。 世の中、ネットが普及したお陰で情報はだいぶ伝わりやすい状況になりましたが、まだまだ、知られていないことが沢山あるかと思います。 中小零細企業・個人事業主さんが資金調達において、苦労する部分や経験を基にブログで伝えられたらと思います。 ※個人的な考え方や判断をしていることもあるかと思いますので、ご了承ください。

資金調達手段のファクタリングを利用する際の掛目とは

ファクタリングの相談を受けました。

 

A社長が某ファクタリング業者と、先日ファクタリング契約をしたのです。

 

実行金額自体は、A社長は喜んでいましたが、手数料が高いと嘆いておられました。

 

財務の処理のアドバイスもしながらも、取り急ぎ、会社のキャッシュフローは改善出来たので、良かったじゃないですかと話をしておりました。

 


しかし、ここでA社長より言われたのがありました。

 

 

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ファクタリング業者に買い取ってもらった売掛債権はZ社より入金予定の480万円(税込み)。

 

A社長は建設業を営んでおります。

いろいろ、経費的なものが差し引かれて手元に受け取った金額は435万円。

 

A社長はこのファクタリング業者は掛目が100%でやってくれたとおっしゃられておりました。

 

掛目が100%で買取るということは、480万円入金が入ってきた際に、480万円で戻しなさいという契約かと思います。

 

 

私の中で、ノンバンクの貸付での掛目は不動産担保で60~70%というのが相場でした。

 

なぜ、不動産担保で掛目が落ちてしまうかというと、土地・建物の評価はその都度変動があります。

 

その評価は時代の流れや、ニュース・経済の影響によっても変動することがあるのです。

 

簡単に説明しますと、土地・建物で5000万円と評価がある場合、およそ、3000万円~3500万円までが担保価値があると判断し、その金額内で融資額を決めていきます。

 

他ですと、国債では80~90%、有価証券担保は40~80%と相場があります。

 

なにか不足の事態に陥って、担保となるものの価値が少し下がっても問題ないところでの設定となるのです。

 

ファクタリング

 

一昔前は、金融機関での3社間のファクタリングは、相場が30~40%でした。

 


上記の様に、何が起こりえるのかが不明なほど、掛目は下がります

 

 

なので、今回A社長が2社間ファクタリングをした際の掛目が100%というところに注目してみました。

 

商取引上、仕事をおこない締めて請求書を発行します。

 

しかし、請求書を発行した後で起こりえる事があります。

 

● 一部相殺が出てしまった
● 請求書の再提出
● 業種によっては組合費が引かれてしまった
● 計算間違え

 

私が過去に経験したものを上げてみました。

 

小売業・建設業では、最初に出していた金額より変動が起こりやすかったりします。

 


すると、100%の掛目で売掛金をファクタリング業者に買取ってもらってしまった後に、上記の様な事が起こったらどうするのでしょうか?

 

例えば、A社長が480万円の売掛金を100%で買取ってもらっていて、入金予定日の少し前に一部相殺で▲20万円が差し引かれる事になってしまった。

 

2社間ファクタリングにて資金調達していたA社長の場合

売掛金:480万円
・買取ってもらい手元に来た金額:435万円
・掛目が100%
・ファクタリング業者が得る手数料は45万円※A社長が手数料として支払う金額になります。

 

ここで、相殺が▲20万円が発生

 

売掛債権として、実際にA社長に入金されるのは460万円です。

 

しかし、ファクタリング業者が掛目100%で買取っているとなると、A社長はどうするのでしょうか?

 

即日買取り!即日現金化!

 

ファクタリング業者は売掛金を買取っているのです。

 

その売掛金が差し引かれてしまったのです。

 

本来、ファクタリング業者がA社長に戻してもらう金額は460万円になるのです。

 

もし、ファクタリング業者がA社長に差額の20万円を請求した場合、どのような理由で請求されるのか?

 

請求してA社長が差額の20万円を支払った場合、ファクタリングにおいての手数料の計上がおかしくなります。

 

A社長が自分のポケットマネーや他から準備をして支払った場合は、買取った売掛金ではないので、ファクタリングではなくなってしまいます。

 


なので、ファクタリング契約において掛目が100%で良かったというのはないのです。

 

細かくいうと、振込み手数料はほとんどの場合、差し引かれて入ってきます。

これも、計上がおかしくなってしまいます。

 

 

2社間ファクタリング・3社間ファクタリングにおいて、売掛金を買取ってもらうのですから、差額が発生しない売掛金を買取ってもらい、万が一のことを考え、掛目がある方がA社長にとっても良かったのです。

 

今回のA社長の場合は、売掛先に出向き手渡しで受け取る形式で、相殺も無かったそうなので余計なトラブルにはならなかったそうです。