元ノンバンク営業マンが経験した中小企業の資金繰り

ノンバンクで十数年勤めさせて頂きました。 融資から最近流行のファクタリングまで、内容も様々経験しました。 世の中、ネットが普及したお陰で情報はだいぶ伝わりやすい状況になりましたが、まだまだ、知られていないことが沢山あるかと思います。 中小零細企業・個人事業主さんが資金調達において、苦労する部分や経験を基にブログで伝えられたらと思います。 ※個人的な考え方や判断をしていることもあるかと思いますので、ご了承ください。

中小企業のアパレル業の資金調達

アパレル業界は、厳しい状況ですね。

 

昨今は、インターネットでの売り上げが好調で、実店舗は苦戦を強いられていると、多々伺います。

一昔前までは、インターネットでの販売はサイズ感や素材感、実際商品が届いてみるとイメージしてたのと違うということが起こるので、実店舗には敵わないと言われておりましたが、〇〇タウンさんのボディスーツがしかも無料でもらえるとかの影響も少なからずあり、実店舗に行かなくてもイメージに近いものが購入出来る環境が整って来ました。

 

地方のアパレルは特にその影響が出てるのでは? と思えるくらいの実店舗に来る客足が減っているように感じます。

 

もちろん、地方ではショッピングモールやアウトレットモールなどの、真新しい施設が出来たりでアパレルの商品を購入しようとするお客さんの行動パターンにも変化が出て来てます。

 

お客さんが来ない=売り上げが上がらない

 

この連鎖になりがちです。

 

しかし、商品が売れなくても仕入れ先への支払いは待ったがきかず、支払い期日が来てしまいます。アパレル業の社長達もなんとか厳しい状況を打破しようとしてますが、難しい状況が続いています。

 

私もそうですが、実店舗に行かなくてもイメージに近いものが購入出来るのでしたら、インターネットで洋服などを購入するかと思います。

 

百貨店などに店舗を構えてるところは、店舗の売り上げは一度百貨店に吸い上げされてしまい、月末締めの経費関係を差し引かれて翌月末に入金されるとか当たり前です。

 

社長達からしますと、つり銭は残せても余計なお金は置いておけません。

 

会社で急遽、仕入れやその他の支払いが発生してしまっても、預貯金が無ければ対応が困難になってしまいます。

 

事業資金がショートしてしまって、金融機関に融資を打診してもなかなか出ないのが現状です。ただでさえ、アパレル業界は売り上げが伸び悩んでる事が色々なところで情報が飛び交っているので、金融機関も慎重にならざるを得ません。

 

 

以前、融資のお申し込みのあった社長は、2店舗構えてましたが、1店舗は社長がいて、もう1店舗はアルバイトが一人でやっている状況でした。

※店舗は広いわけではありませんでした。

 

売り上げは天候にも左右されやすく、アパレル業界が活性化する期間以外は売り上げが落ち込み易いのです。

 

アパレル業界の閑散期は、2月と8月と言われています。

※商業ビルにより、多少異なることはあります

 

 

某商業施設でテナントを構えている企業ですが、

月の売り上げ:約300万円

テナント経費:約140万円

差引かれて入金されるのが:約160万円

7月1日~7月31日の売り上げを計上し、商業施設へ送金。

7月31日締めの8月25日に商業施設から差引かれた売り上げが入金されます。

※締め支払いは商業施設により異なります

 

このアパレルの企業は、まとめて入金されるのが毎月25日でした。

その入金日に合わせて、仕入先の支払いやその他支払いをしていました。

 

 

逆に、25日以外では大きい入金が無いので、大きい支払いには対応出来ないのです。

また、テナント経費はだいたい固定で掛かってくるので、売り上げが落ちてしまうとその分自社に入金される売り上げが減ってしまいます。

 

売り上げが落ちる

↓ ↓ ↓

入金が減る

↓ ↓ ↓

次の仕入れでの支払いが厳しくなる

 

上記のように、仕入れが厳しくなるとさらに売り上げに直結してしまうので、仕入れは借り入れをしてでも、仕入れの量や質を落とさないようにせざるを得ません。

 

 

もちろん、繁忙期もありますのでそこで売り上げを盛り返し、一度融資で借り入れたものを返済し、また次借り入れるというように考えている社長もいます。

 

 

ある程度の資金調達が出来て、先々の経営戦略が出来、それに合わせて仕入れをしていったとしても、流行で左右されてしまいこんな予定では無かったのにとなる事が発生しやすいのです。

 

融資する側も、業界の流れには非常に敏感になっており、どちらかというと融資の実行には消極的なのが現状です。

 

 

相談を受けた、アパレル業の企業で某ノンバンクから融資を100万円借り入れたそうですが、支払いが50万円の2回払いだったそうです。

商業施設で店舗を出していましたが売り上げは吸上げ型で、支払いサイトは末締めの翌20日。

1回目の支払い時は、売り上げも通常通りあったのでノンバンクの支払いをしても問題は無かったのですが、2回目の支払い時は先月の売り上げが急に落ちてしまい、ノンバンクの支払いをしてしまうと、仕入れやその他の支払いが困難になるという状況でした。

 

社長は支払いに頭を悩ませてました。

 

仕入れが困難になるということは、次の商品が揃わずに売り上げの落ち込みにも繋がります。しかし、借り入れたものは返済しなければならず。。。

 

そのノンバンクに再度の借り入れを申し込む場合と他のノンバンクにて借り換えをし長期的な返済にする提案をしました。

 

社長とも相談し、下記の2パターンがすぐに出来るのではないかと

 

① 利用しているノンバンクに説明をし、再度契約をし直し長期的な返済に変える

② 他のノンバンクで借り換えをし、長期的な返済にする

 

すると、①のパターンでノンバンクが借り換えの流れにしてくれるとの回答をいただいたそうです。社長もこれで少し落ち着くだろうと考えておりました。

 

わたしが交友関係から調べたところ、社長が利用していたノンバンクはちょっと気になる業者で、嫌な感じがしました。3日後に支払いが迫っていましたので、万が一も頭によぎったので、社長のところへお邪魔し、これからの起こりえる可能性を説明し、その対処方法もお伝えしました。

 

すると、社長はノンバンクの担当の方は良い方だから大丈夫!と言って聞かない状況でした。

 

↑ ↑ ↑ ↑ ↑

 

この状況はよくあるパターンでしたので、社長のところの資金繰り状況は把握していたので、知り合いの某ノンバンクに話通したところ、100万円くらいならなんとか融資の実行がされそうとの返事をいただきました。

 

3日後のノンバンクの決済の際に、社長は朝一番でノンバンクに支払いを済ませ、決済しノンバンクの次の契約で呼ばれているとのことで向かったのです。

 

もしかしたら、わたしの考えすぎかな? と思い始めたところ。。。

 

社長から連絡があり、非常に焦っている状況でした。

 

話を伺うと、次の契約で呼ばれてノンバンクに必要書類と印鑑関係を持って行ったのですが、担当が出てきて、「次の契約が出来なくなりました」と他人事の様に言われたそうです。話が違う!と伝えたそうですが、審査部がNGとのことで融資は出来ないの一点張りで、さらに「帰ってくれ」と言われたそうです。

 

社長はショックを受け過ぎて、茫然としていたそうです。

 

その後に、わたしのところに連絡をしてくれたところでした。

 

わたしからの話はほどほどに伝えて、知り合いの某ノンバンクへ連絡を入れて、社長と合流しすぐに向かいました。事前にわたしから話が通っていたのもあり、必要書類と確認事項など小一時間ほど面談をし、15:00ギリギリにはなるけど、融資の実行間に合うように言っていただいて、その後、14:00頃 再度某ノンバンクへ伺い、無事に契約し融資のお金を振り込んでいただいたのです。

 

わたしも社長も間に合ったことにホッとしました。

※知人がすごく根回しをしてくれてたみたいで助かりました。

 

社長曰く、ハシゴを外されたノンバンクは融資実行の際は、契約時現金手渡しで領収書を書かせられて、さらに15万円が諸費用で掛かるからとその場で差し引かれたそうです。社長はノンバンクはこんな感じなんだと思ったそうです。

※15万円支払った領収書は発行出来ないと言われたそうです。

 

しかし、わたしがご紹介した某ノンバンクは、契約後振込で明細通りの金額が振り込まれていたことに社長が驚いておりました。※これは普通ですと伝えました

 

ただ、銀行と比べると割高な金利になってしまうのですが、即日融資で1年での返済にしてもらえて、支払いに無理がないような流れになったので、社長も喜んでもらえました。

 

後日、社長からCFOの顧問契約をして欲しいと連絡があり、喜んで引き受けさせていただきました。

※社長は、先日わたしがいろいろ動いていたのにも関わらず、報酬もなにも支払っていないし、請求もしてこないことを気にしてたそうで、今後の資金繰りも含め経理の部分の相談をしてもらおうと考えてくれたそうです。